高校3年生 理系 選択生物

2022年6月11日

お知らせ

高校

ニワトリ胚の実験観察

高校3年生理系の選択生物の授業においてニワトリ胚の実験観察を行いました。
本校の生物科では、実験観察・解剖による学習に力を入れています。教科書で学んだ知識を目の前の対象と結びつけて理解する経験を積んでもらいと思っています。特に高校3年時は生物の学習分野においても実際に見て学ぶということが重要になる単元が多くあります。科学の発展において、とりわけ生物学の発展には実験生物を用いた形態観察・実験・解剖などが大きな土台となっています。自分達の学びが、ただの暗記ではなく目の前の生物を通して実態のある現象や存在として捉えて貰いたいと願っています。
一方で、生命倫理的な観点から、現代ではこのような生物の命を奪う実験に対して賛否があります。しかし、それらを論じる上でも実体験としての経験や考えなくしては語ることができません。生徒たちには、本実験を通じて、発生学的な形態の変化を学ぶとともに命をいただくということについてレポートを課して考えてもらいました。(生物科教諭 家永)

以下は,レポート内記述の一部抜粋です。
課題「生物学実験に伴う実験生物の犠牲について、自身の立場を示して論じよ」

📒実験動物を犠牲にすることは反対だと私は考えた。今までの医療や科学の進歩に動物実験は欠かせないものであったことも事実である。実際に、自分も生きているニワトリを犠牲にして発生の観察をおこなったのはこれが初めてであり、多くのことを感じて考えることがあった。しかし、これからの科学技術の発展においては代替法を考えていくべきだと思う。動物実験に代わる方法は何かないのかと調べてみると、人工細胞の利用や非哺乳類での実験など他にもいくつかの方法があった。また3R(Refinement=洗練、Reduction=削減、Replacement=置き換え)の原則が研究界で動物実験廃止への取り組みが行われていることを知ることができた。今まで数多く犠牲になってきた実験動物のおかげで進歩した科学技術を利用して、いますぐに動物実験をなくすことはできなくても数を減らして代替法を考えていくべきだと思う。

📒私は実験動物の犠牲は必要だと思う。私たち人間の都合で、大切な命を使わせていただくことは確かに勝手なことだけれど、狂犬病などヒトと動物間で感染する病気の治療法の解明には動物を用いた実験は欠かせなくなってくる。近年は動物実験への反対運動が活発になり、バーチャル上で解剖の授業を行うアプリも開発されているが、命を使わせていただいていることを実感し、感謝しながら学んだり、新しいことを発見するのが目的ではないだろうか。実験が行われなくなれば新たな発見もなくなり、感染症や環境の変化に適応できなくなってしまうだろう。動物たちの姿から目を背けず、真剣に取り組むことを心がけたい。